政治学概論


政治学は国家統治の方法としての政治を対象とする学問分野で、非常に広範囲の内容を含みます。非常に単純に言えば、権力と利害が一致しない相手との紛争を、調停するための方法を研究する学問です。関連する分野は非常に多岐にわたり、思いつく限り挙げただけでも哲学、法律、教育、経済、社会、心理、科学、宗教、軍事、犯罪、歴史などがあります。概論ではこれら幅広い分野にわたる政治学の世界を概観します。

国家の権力について議論したり、政策の効果を分析したりと学習する内容もさまざまで、必要とされるツールも多岐にわたります。われわれはいまだに完全な政治システムというものを見つけられていません。したがって政治学を学ぶ人は正解の無い問題を解き続けるという、学問の王道を歩むことになります。

日本では学問分野の定義すらいまだハッキリしていない科目ですが、その歴史は以外に古く古代ギリシャ以前まで遡るとされます。その後神学の一分野として発達し、さまざまな分野の研究を取り込みながら、現在の形になりました。そして今でも変化を続けています。

まずは概論で現代の政治学の大枠を掴みましょう。

2012年の東京大学 「政治学」のカリキュラムは以下のようになっています。

基本概念と理論
1 政治学の方法
2 権力の概念
3 個人と組織 方法論的個人主義とゲーム理論
4 個人と決定、選択
5 政治的発展、民主化と政治文化

制度と組織
6 政党
7 政党制
8 投票行動と選挙制度
9 投票、政党支持、世論、政治参加
10 利益集団
11 議会 
12 政党の連合と連立
13 官僚制
14 民主主義の制度
15 資本主義と民主主義
16 福祉国家

変化と継続
17 グローバリゼーションと国際関係
18 政党政治の変化
19 公共政策と政策対立
20 政治学の新展開


おすすめ教科書


お勧めサイト

放送大学
"政治学入門(シラバス)"
辻中 豊 2012
(シラバスのみですが、よくまとまっているので、学習の全体像を掴むのに役立ちます。)

計算機科学概論


計算機科学概論ではいわゆるコンピューターに関連する幅広い分野について概説します。もともとは数学の一分野である計算可能性を検証する上で要求された仮想の計算機を研究する学問で、実際にコンピューターが発明されてからは現代文明を支える非常に重要な学問となりました。 

現在われわれが生きるこの世界は、あらゆる分野でコンピューターの恩恵に与っています。コンピューターなくして現代文明は成立しえないと言ってもいいでしょう。この科目では計算機のメカニズム、アルゴリズム、自然言語とコンピューター言語の違い、計算可能性、そしてコンピューターの応用と最新のトピックなどを初学者向けに学びます。

世界の仕組みを一変させたコンピューター革命、戦争の行方を左右する暗号理論、そして神の存在を否定した不確定性原理、そして人工知能と量子コンピューティングの可能性など、関連する分野のトピックを抜き出して並べてみただけでドキドキしてきませんか?

そのほかにも、0と1の二進数の世界から、なぜこれほど複雑な計算を行えるようになるのか?どのように設計するのか?何ができて、何ができないのか?これから先どうなるのか?など興味深い内容が目白押しです。読むだけでためになること間違いなしの書籍がたくさんありますので、どれか一つ手にとって目を通してみましょう。コンピューターの世界を支えている精緻な理論と応用の手法は、学ぶ誰もが驚くことになるでしょう。万人におすすめの科目です。


おすすめ教科書



お勧めサイト

東京工業大学
佐々政孝 2012
佐々政孝 2011
(上記講義メモのPDFがダウンロード可能です。)
MIT Open Courseware
 Prof. John Guttag
(講義ビデオの閲覧、講義資料、練習問題などのダウンロードができます。おすすめ)
Youtube
(上記講義のビデオシリーズですが、キャプションを翻訳することで日本語で視聴が可能です。おすすめ)


微分積分学


大学課程での初歩の微分積分では、多くの場合高校課程の復習も含まれます。線形代数と共に、非常に多くの自然科学系、社会科学系の初年度で必修または選択科目となっており、応用範囲が広いというよりは基礎的なことを身につけていないと計算を要する分野で何もできないほど重要な科目です。

もちろん自然科学系と社会科学系では必要とされる水準が異なり、高校数学範囲のの計算ができればよいレベルから、偏微分方程式を解かなければいけないレベルまで学部によっても要求はさまざまです。

あらゆる科目で必要とされるだけあって、教科書も豊富で内容もさまざまなので教科書のレベル毎にいくつかカテゴリーに分けています。ほぼ世界中の大学生が頭を悩ませる科目でもあるので、関連サイトも豊富で書籍の教科書を使わずに独学することも十分可能です。演習問題も豊富で、下手なパズルより頭の体操になるような良問もたくさんあります。

大学によっては解析学のIやII、または基礎解析学として開講されることもあります。自然科学系や一部の社会科学系では常識として身につけておくことが要求されますので、きちんと学んでおきましょう。


おすすめ教科書(高校から大学入門、文系選択)



おすすめ教科書(大学中級、理系必修)



お勧めサイト

Wikibooks
"解析学基礎"
"解析学"

Wikisource
"解析概論"
(まだ完全ではありませんが、無償で提供されているオンラインの教科書です。)

京都大学
"澤野嘉宏の講義+過去の講義"
 澤野嘉宏
(過去数年の講義ノートがPDFで公開されています。)



お勧めサイト(英語)

MIT Open course ware
"CALCULUS"
Gilbert Strang
(過去に出版された教科書のPDFやCalculus(解析学)の講義ビデオが見られます。)

Web site
"Stewart Calculus"
(有名な英語の解析学教科書の補足ページですが、内容が非常に豊富です。)

Online textbook
"Calculus"
David R. Guichard
(豊富な実例で微分積分を初歩から解説している解析学の教科書。無料のPDFリンクです。)

Online textbook

"Elementary Calculus: A Infinitesimal Approach"
H. Jerome Keisler
(多くの人に『この本で学びたかった』といわせるオンライン教科書のPDF。良書です。)

Web site
"Solving derivatives step-by-step"
(関数の微分を解法つきで表示してくれます)

線形代数学


線形代数学とは行列と行列式に関連する理論を学ぶ科目です。非常に応用範囲が広く実生活にも深くかかわる分野で、ほとんどすべての自然科学、社会科学分野で大学初年度に必修となっています。

もとは一次関数の解法を研究する分野で、実際に操作として行うのは(ほとんど)特定の法則に従った四則演算のみです。線形代数学はこの「特定の法則」についての理論と意味を学ぶ学問といえます。現代では(大量の)四則演算部分はコンピューターに任せてしまうことが多く、さまざまな分野の計量・分析部門ではこの部分をコンピューターに行わせ、出てきた結果を利用します。線形代数を正しく理解していないとコンピューターに計算させる式を間違ってしまったり、その式すら作れないことになってしまったりするので、この科目をきちんと学び身につけておく意義は非常に大きいといえるます。


教科書によっては非常に身近な例を取り上げて理論を説明していますし、最も実生活に即した数学といえます。どの教科書でもそうですが順を追って進めていけば必ず理解できるようになっているので、まずは一冊教科書を購入して読み勧めていきましょう。あなたがつまづく場所は多くの人がつまづく場所でもあり、オンラインで多くの助言が得られることも特徴です。英語圏では多くの無料の教科書が公開されており、それらを用いた独学も可能です。


お勧め教科書



(ショッキングな名称で有名サイトです。内容はあまり詳しくないので参考程度に使いましょう)


"線形代数インデックス "
(上位ページである理系インデックスの数学関連ページは、読み物としても非常に完成度が高くおすすめです。)


お勧めサイト(英語)

"Linear algebra"
Jim Hefferon
(オンライン教科書のPDFリンク)

"A First Course in Linear Algebra"
Robert A. Beezer
(オンライン教科書)

"Elementary Linear Algebra"
Keith Matthews
(オンライン教科書、各章毎にPDFが配布されています。
非常に分かりやすい記述で練習問題と解答付き。英語が苦手でないのならおすすめ。)

歴史社会学


歴史社会学とはある社会現象を歴史的変遷に沿って研究する学問分野です。こう述べると非常に曖昧な学問のようですが、研究対象は特定の分野にフォーカスしていることが多く、たとえば「家族制度の歴史社会学」や「士族の歴史社会学」など、実際には細分化されています。

したがって「歴史社会学」 を概説する教科書といったものもほとんど無く、各分野の研究を概説するといったものがほとんどになります。学んだ社会学の手法を駆使して、特定の分野を時系列にしたがって分析するという学問で、大学においても各教員が自分の研究分野の一部を紹介する科目であることが多いです。

各分野の内容については非常に広範囲な資料調査と研究者の独自視点からの分析が加わっていることもあり、教科書というよりは読み物として興味深い作品が多いのも事実です。興味のある分野の歴史社会学の著作を読めば、その分野についての一般的な知識は網羅したことになるといっても過言ではありません。それらの著作を批判的に読み進めていくことは思考のトレーニングにもなります。面白そうな分野の歴史社会学の著作を集めてみましたので、興味ある分野があれば手にとって読んでみてください。またお勧めサイトでは歴史社会学分野の論文を検索して紹介しています。これも読み物として面白いものが多いので、ぜひ覗いてみてください。
 

お勧め教科書



お勧めサイト

東京大学学術機関リポジトリ
"歴史社会学"
検索KEY WORD ="歴史社会学"
(歴史社会学に関する各種論文が閲覧できます)

文化社会学


文化社会学は「文化の社会学」とも呼ばれ、文化の中にある社会現象を対象として研究を行う学問分野です。文化社会学で対象となる文化は芸術、音楽、マスメディア、ファッション、漫画などのサブカルチャー、民族儀式など多岐にわたり、現実的に意味と秩序を持つ社会現象を対象とします。

形式主義的な社会学に対する批判として成立した学問で、もっぱら現実の社会現象を対象としていることに特徴があり、下位分類には例えば音楽社会学、メディア社会学などがあり、それらのテキストには読み物としても面白い本がたくさんあります。

文化という非常に広範な対象を扱うため、名称からはその全体をイメージしづらい学問ではありますが、まずは一冊教科書を手に取りざっと目を通してみましょう。われわれの身近にある文化が、どのように成立し、どのように今の地位を占めるに至ったのか、きっとあなたの興味をひきつける内容が書かれていることでしょう。
お勧め教科書




お勧めサイト

法政大学リポジトリ
"文化社会学の課題 ─社会の文化理論にむけて─"
佐藤成基
(文化社会学の諸問題を概説する論文が読めます)

Webサイト
"スタンダード反社会学講座"

社会調査


社会調査では社会現象をどのように調査し、データを集め、どのように処理し、どのような結論が導かれるのかを学習します。

不適切な手法で集めたデータは信頼性を保証できないだけではなく、誤った結論を導くこともあり、社会実験の各種手法とそれらの長所短所を理解していなければなりません。またデータ加工や処理の分野では統計学の知識が必要で、それらについても学びます。

主に対象に質問をして得られたデータからどのように結論を導き出すかを念頭においており、サンプルの抽出から質問表の作成、統計処理の方法を総合的に学びます。その他の社会科学分野でも類似の調査が行われることがあります。

教科書では調査の実例とデータから得られる結論があわせて紹介されていることもあり、読むだけで勉強になります。また本によっては統計トリック、回答誘導の手法を紹介しているものもあり、きちんと身につければ近年騒がれているメディアの嘘を見抜く目を養うこともできるでしょう。

社会学を学ぶ人だけではなく、社会科学を学ぶ人にも学んで欲しい科目です。

お勧め教科書



お勧めサイト

大阪大学
"質問紙法による社会調査データベース"
(各種大規模社会調査の結果をデータベースとして公開しており、変数を選択して出力することができます。)

立教大学
"社会調査法1"
2012前期 立教大学社会学科 村瀬洋一
(授業内容を概観することができます)